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技術コラム【吐出の羅針学】等量分岐
前回は、等量分岐を行うにあたって必要な「主な管路抵抗と計算式」について説明しました。なかなかややこしいかもしれませんが、管路設計の基本となりますので、時間のあるときにぜひ復習しておいてください。今回はいよいよ、等量分岐について説明します。
[分岐流量の求め方]
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まずは前回の内容を踏まえて、図のような分岐管の流量を求めてみましょう。点Cにて経路A、経路Bに分かれる2分岐管で、それぞれは円管とします。分岐点Cの圧力をPCとすると、このPCは経路A、Bによらず、一意に定まります。このとき、点Cの圧力と大気圧との圧力差( PC-P0 )により、経路A、Bには流体が流れることになりますが、その流速(流量)は各経路の管路抵抗によります。では、さっそく管路抵抗を計算してみます。
前提条件
- 流体は、ニュートン流体かつ層流。
- 分岐損失は無視。
点Cには分岐損失が生じますが、前回説明したとおり、分岐損失は分岐角度や分岐部の形状、流量比、直径比、Re数などに依存するため、実験的に求めることが不可欠になります。よって、今回は無視することとします。 - 出口損失は無視。
大気への流出であるため、損失は極めて小さいとして無視します。
よって、経路A,Bでのそれぞれの総損失は、
【経路Aの損失ΔPA】
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【経路Bの損失ΔPB】
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となります。
冒頭で述べたように、点Cの圧力は経路A、Bによらず同じ値になるため、上式は等しく、
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となります。
また、分岐前の流量をQとすると、
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となります。
(a)、(b) 式を連立させると、VA、VBを求めることができ、(b)の式に値を代入して流量を求めます。
[等量分岐をする場合]
等量分岐をしたい場合は、経路A、Bの流量が等しくなるため、
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とし、(a)式と連立させて、dA、LA、dB、LBの関係を求めます。
しかし、ほとんどの場合は計算が複雑になってしまうため、等量分岐を行う場合は、
・dA=dB
・LA=LB
とし、両経路の径、長さ、曲がりなどの各損失が同じになるよう、管路を対称設計とすることが一般的な考え方です。
(そうすることで、自動的に(a)、(c)式が成立します。)